【乗車ルポ】特急“ニセコ” 函館本線「山線」経由 5時間43分の旅

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札幌―函館間、5時間43分、函館本線山線経由、 9012D・特急“ニセコ”に乗ってきた。

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列車は、キハ183系(キハ183-1501-キハ182-507ーキハ183-1505)の3両編成。 函館方が3号車で自由席、2・1号車は指定席車である。自由席はほぼ満席のようだったが、指定席は、満席とアナウンスされたようで、でも実際は空席もあった。

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特急“ニセコ”には、スラントノーズの基本番台の登板が多かった。しかし同車はすでに引退している。乗車当日は、120km/h対応の1500番台だった。

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苗穂方からの入線が約4分前と、反対側ホームから入線シーンを狙う身には、慌ただしい。だが、考えてみれば、平日朝のラッシュ時に、大都会・札幌駅に、臨時列車を潜り込ませるだけでも大変なことである。入線が、発車間際になるのは当然だ。

撮影もそこそこに、大慌てで乗車する。車内販売はないので、予め用意しておいた。

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7:57・札幌駅2番線発車。

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6分前を新千歳空港発手稲行729Mが先行するので、手稲まではゆっくり走る。キハ183系のアコモは、現代の水準からするとややクラシカルに映るが、さすが国鉄時代の手堅い設計だけあって、乗り心地がとても良い。ふわふわとした乗り心地はミンデンドイツ台車を思わせる。だが、調べてみたら、1500番台はボルスタレス台車だそうで、現代の水準と同等だ。となると、乗り心地良さはヨーダンパによるものか。シートも、反発の少ないふかふかするタイプで、体にフィットする。

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レチさんによる車内改札。特急列車の車内改札は、各地で省略されるようになり、車内改札という儀式が、意識の中から抜けていることに気付く。レチさんは、俳優の中原丈雄さんに似ていた。

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そんなことを考えているうちに、車窓の右側に、小樽の海が拡がる。列車は、特急であることを忘れさせてくれるほどのゆっくりした速度。そのため、思う存分、青い海が楽しめ、イヤなことを忘れさせてくれる。

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車内は、ファンと思われる人が目立つが、平日に、海線経由定期列車の2倍をかけてゆっくり進む列車に乗れる人は、限られている。夫婦、中高年のグループが多い。大人の休日倶楽部会員(オトキュー)のようだ。

実は、往路の北海道新幹線、早朝の便にも関わらず新函館北斗まで満席で、盛岡以遠でも空席が発生しないことを不思議に思っていたが、調べてみたら、オトキューの東日本・北海道スペシャルなるフリー切符の設定期間のようで、指定席確保が大変だった。

そんな中、筆者の隣席は、終点まで空席のままだったこともあり、車内の移動などに気を遣う必要もなく、本当に快適だった。

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小樽から先、いよいよ山線を行く。キハ183系のエンジンテンションも、小樽までと違う。沿線では、この“ニセコ”を狙うカメラマンもチラホラ。首都圏と違いカメラアングルに制約が少ないことを羨ましく思う。日程に余裕がなく、沿線で撮影することができないことを悔やむ。

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山線区間は、10年前に乗り潰して以来だ。その時は、長万部を夕方発車する列車だったので、車窓を楽しめる区間は限られていたこともあり、今回、改めて山線を辿る機会に恵まれて、嬉しかった。

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臨時列車なので、運転停車もある。列車交換、行き違う列車が案外多い。北海道の場合、石北本線や宗谷本線だと、行き違う列車も僅かで、違和感を覚えるほどだ。

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余市9:07着。8分間の停車中、ホームで特産のアップルパイが販売される。1個求めた。

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倶知安10:01着。ここからニセコまで、観光協会の方による特産品の車内販売が行われた。各車に1名ずつ乗り込んだが、売れ行きはよく、倶知安(10:04発)ーニセコ(10:17着)の13分間だけでは、半分も捌ききれず、待つ方はヤキモキする。だが、焦る気持ちとは裏腹に、C62ニセコ号の法被を着た観光協会氏は黙々と、落ち着いて1つ・1つの座席を巡っている。あまりの落ち着きぶりを不思議に思っていたが、ニセコが近づくと、「好評につき、車内販売は昆布まで延長します」と来た(笑)。どおりで落ち着いているわけだ。


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そんなこんなで、販売時間が11分間延長されたので、無事に飲むヨーグルトと、ミルクーヘンを求めることが出来た。だちょうどら焼きサンドは好評で売り切れていた。余市のアップルパイといい、車内で座っているだけなのに、食べてばかり。太りそうだ。

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車内でのイベントが落ち着いたので、山線の旅をのんびり楽しむ。レチさんによる観光案内もある。羊蹄山についてや、長万部到着前には、山線の解説もあった。ニセコ駅は、駅名にカタカナだけで構成された駅名は、JRで初めてとのこと。ニセコ駅に改称したのは昭和43年なので、ここはひとつ、「国鉄で初めて」と言って欲しかった。道内でも屈指の豪雪地帯だそうだが、展がる景色は初秋の穏やかな風景だ。

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ファンが車内を往来することは減ったが、札幌から3時間が経ち、トイレの利用が多い。使用中のランプがひっきりなしに点灯する。

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黒松内11:06着・07発。実は、この列車は、駅弁・かにめしの予約販売を受け付けている。といっても、各自車内から駅弁業者に自身で電話予約するのだが、長万部停車中にホームで受け取れる。

筆者は、前日の往路で既に食してしまったので予約はしなかったが、長万部のホームは活況だった。

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と、まぁ、特急とは言いつつも、山線では観光列車の様相を呈していた“ニセコ”だったが、乗客も、誰一人急ぐわけでもなく、みんな、山線の旅を楽しんでいた。長万部11:27着・35発。

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ところで、特急“ニセコ”の旅はまだ終わりではなく、函館まで続く。

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“北斗”用に新造されたキハ183系1500番台にとって、函館本線長万部以南はホームグラウンド。快調な走りを見せる。筆者が確保した座席は噴火湾側で、北海道の海を楽しめる。H100型気動車の甲種回送列車ともすれ違った。

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その頃、車内ではJR北海道職員により、アンケートが配布された。設問は、“ニセコ”をどのような手段で知ったか、“ニセコ”が設定されていなかったらこの旅行をどうしていたか?…など。アンケートはA4で、裏面もあったが、裏面は主にオトキュー向けの設問だったこともあり、特急“ニセコ”は、かなりJR東日本の大人の休日倶楽部会員を意識した商品であることが窺えた。

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“ニセコ”は特急だが、実は、後を走る特急“スーパー北斗8号”に途中で道を譲るなど、長万部以南でも特急らしかぬ走りを見せる。行き違いの運転停車が多く、それがまた、どの列車もたいてい遅延してくるのだが、“ニセコ”の運転時分は余裕たっぷりなのか、各駅への到着が大幅に遅れることはなかった。どうも、普段首都圏にいると、「遅延している」と聞いただけでヤキモキしてしまう。北海道の大地のように、自分もおおらかでありたい。

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新函館北13:18着・24発。ここでほとんどの乗客が下車した。自分も当日の夕方、北海道新幹線で帰京する予定だが、しかし、自分は終点まで“ニセコ”に乗って行きたい。函館の駅前を散策したい。というわけで、下車せず乗り続ける。3号車の乗客は3割程度にまで減った。

北海道新幹線開業以降初めての渡道だったので、新函館北斗から先、進行方向右の新幹線側の車窓は初めて。函ハコ(函館新幹線総合車両所)には、留置車両が見当たらず、新幹線の総合車両所としてはこじんまりとした印象を受けた。

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五稜郭13:35着・36発。青函用EH800型が姿を現す。白い帯など、見慣れたEH500と、似ているようで異なるEH800に違和感を覚える。それでいて、連なるコンテナ列車は見慣れたものなので、違和感がすぐに打ち消されてしまい、もう不思議な感覚だ。

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マイクに内蔵された国鉄オルゴールのあと、レチさんによる「札幌から5時間43分、終点函館~」とのアナウンスが流れると、函館だ。13:40着。デッキのゴミ箱は溢れていて、“ニセコ”の道中、かなり活況だったことを物語っていた。

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函館駅構内は、以前と変わらないが、ホームにいる車両はすっかり世代交代してしまった。そんな中、昔と変わらぬ姿のキハ40を見てホッとする。

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特急“ニセコ”は、特急と謳いつつも、速達性を追求せず、観光列車の要素を採り入れた、やや変わった特急である。九州の“はやとの風”と、性格が似ている。札幌―函館間約6時間、乗車券5,400円・特急券2,900円の合計8,300円。1時間あたり約1,300円(6時間換算)で、北海道の海の風景と、羊蹄山の山の風景を、のんびりと楽しめてしまうのだから、見方によってはリーズナブルだ。

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願わくば、冬季を除く各週末に運転できないものか。編成も自由席1両増結の4両編成とし、定着したら、根室本線など、道内各地に展開して欲しい。函館駅構内に、キハ281が多く留置されていた。波動用などでまだ充分使えそうだ。しかし、今のJR北海道に波動用車両を多く抱えるゆとりがないのも分かっている。夢物語だ。

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来年夏、東急電鉄が、“リゾート21”を使って北海道内観光列車を運行するようだが、小田急に東武、それに西武も、ご自慢の特急車を使い、北海道観光列車を仕立ててみては。

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