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zoom RSS 【乗車ルポ】 房総ローカル113系 外房線最後の1往復

<<   作成日時 : 2012/02/05 19:01   >>

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2011年8月27日、千葉駅。これから17:18発の外房線277Mに乗り、勝浦まで往復する。

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今まで数え切れないほど乗車してきた外房線の113系だが、8月末で定期運用を終える予定になっており、筆者にとって、この日の勝浦往復が、最後の外房線113系となる。そう思うと、感慨深い。いつも蘇我から乗ることが多かったが、最後の1往復をじっくりと味わうべく、始発の千葉駅から乗車することにした。

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しかし、実際の出発時は、あれこれ物思いに耽っている余裕などなかった。入線してくるシーンを写し、停車中の姿を写す。これがまた、ホームには同じ事を考える人で溢れ、思うようにままならない。3・4番線ホームから階段を渡り、人を掻き分けるようにして列車に飛び乗ったのは、ドアが閉まる30秒ほど前であり、もう少しで乗り遅れそうであった。旅情など、あったもんではない。

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そんな慌ただしいスタートだったので、当然座席にも有りつけず。ただ、蘇我でボックスの窓側を確保出来た。さぁ、改めて最後の1往復だ。蘇我17:24発。

最後だと思うと、とても愛おしい。でも、今ある空間は、いつもと何一つ変わらず、最後である実感はない。車内で聴こうと、MP3プレイヤーに思い出の曲を入れて来た。早速再生する。

窓框に肘を置いて、頬に手を当てながら、今まで何度も見てきた車窓風景をぼんやりと眺める。会話が聞き取れないこともしばしばだった、高速運転時のモータサウンドが心地良く、ずぅ〜っとこのままでいたい気分だ。

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千葉を出発し、「高速域からの制動」としては初めての駅となる鎌取に差し掛かる。

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113系で好きなのは、発電制動が故のスリリングかつ豪快なブレーキ。回生と違って途中で失効する可能性はまずないから、ダイナミックに一発で止める。電制失効時のショックと、失効後の空制が強いため、理論上、単純なブレーキ扱いだと停止はぎこちなくなるが、ウテシさんだって、このあたりのことはもちろん分かっていて、ハンドル捌きで見事にカバーしてくれて、「ぎこちない」だなんて思わせない。こうした職人技も、今後は楽しめなくなる。

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余談だが、113系のブレーキ扱いは、JR東海とJR東日本とで違っていた。JR東海のウテシさんは、電制失効後の空制の強さを意識しておらず、停止直前にはブレーキをキィキィ言わせていた。東海道本線で熱海を境に、こうしたブレーキ扱いの違いを感じることが出来て、興味深かった。

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鎌取の次は誉田。誉田では69M・“特急わかしお19号”を退避するため7分停車する。277Mは2面3線のうち、中線に停車する。とあっては、やはり反対側のホームに渡って、編成写真が撮りたくなる。終点の勝浦まで、ボックスに身を埋め、ぼんやりと最後の113系をじっくり味わうつもりだったが、ダメだ、我慢できん。

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今まで、113系のために、退避中にわざわざホーム反対側まで渡って写したことなどなかった。113系はいつでも撮れる、ありふれた車両だったので、敢えてそこまでしなかった。なのに、今日は違う。記録出来るのなら、余すことなく残しておきたいという心理の方が強く働く。

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7分という停車時間は、待たされるには長く感じられるだろうが、写真を撮るのには慌ただしい。汗だくになりながら、113系を写す。忙しなくてファインダーに集中出来ない。だが、車内に戻ると「退避する“特急わかしお19号”は遅延しており、277Mも発車が遅れる」とのつれないアナウンスが流れる。だったら、誉田でもう少し気持ちにゆとりをもって撮影出来たのに…。

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結局、277Mの発車は3分遅れた。車内でのんびり味わいながら飲もうと思って、千葉で買っておいた缶コーヒーを、一気に飲み干す。この夏は節電で、温度はいつもよりやや高く感じられるが、それでも113系の車内は冷えていて、筆者は間もなく、落ち着きを取り戻す。国鉄時代の電車のクーラーは、「冷やせば良い」という方針だったようで、113系のクーラは、ラインデリアや扇風機による空気の撹拌がなくても、車内がギンギンに冷えた。冷えるを通り越して寒いほどで、乗車時間によっては上着を携行する必要があったが、JR化後は冷気吹き出し口の形状にカバーが施され、改善されている。

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誉田の次は土気。ここで多くの降車があり、車内に立つ人がだいぶ減った。車掌のアナウンスは肉声で、スピーカーはモノラル。レチさんが握るマイクはL型で、これからアナウンスを始めようとしていることは、車端部の増幅器に光るモニタランプで分かる。退屈凌ぎに、このモニタランプを眺めるのが好きだった。Dコックの位置を表示するプレートには、視認のため赤が添えられているが、単調なトーンの車内には、この赤が良いアクセントに映る。

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大網でも降車は多く、車内に空席が目立つようになる。自分と相席していた女性が下車したことにより、ボックスを独り占め出来る時間が始まった。なお,大網発車時点で遅延は解消していない.

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大網を出ると,左右が開けてくる.夏至は過ぎたが18時近くでもまだ明るい.車内といい,車窓といい,いつもの外房線と何変わらぬ光景で,これが自分にとって最後の外房線・113系であるだなんて,まるで実感がない.

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ところで、3扉セミクロスシートの113系と、4扉ロングシートの209系とでは、当然座席定員が異なり、113系の方が多い。113系列車では大網以南では着席の心配などほとんど要らなかったが、209系化後、その分岐点は茂原に移った。千葉から大網までは30分弱なので我慢出来るが、今後は15分余分に我慢を強いられると思った方が良い。

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上総一ノ宮では,後続の快速1517Fの接続を受けての発車となり,6分間の停車する.車内には筆者のほかにもお名残り乗車組が多く,停車中の動きが何やら慌ただしい.かくいう筆者も,先頭に行って113系をスナップ.やはり,最後だと思うと,チャンスがあるごとに記録しなければ気が済まず,じっとしていられない.

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上総一ノ宮は定刻18:21に発車.ここから先は勝浦まで部分複線区間となる.乗車中のモハ113-1517は,太東−長者町間の直線区間でヨーイングが気になった.113系の電動車が履くDT21台車は,高速域での蛇行が気になり,場合によってはそれがとても派手だった.外房線では,本納−新茂原間のやはり直線が続く区間でも見られた現象だが,DT21は原設計が50年前のものなので,最後の数年は,「こういうものか」と,割り切って接していた.なお,ここで挙げた区間は,実は他形式でも蛇行が見られる.すなわち,ヨーイングは軌道状態にも原因があると思われる……そうだ!今日はお名残り乗車だった.間もなく定期運用を終えようとしている房総ローカルの113系の,問題点を今さら挙げる必要は,もうないんだった.いつも,113系に乗りながら,あれこれ自分なりに,113系について研究していたが,そんな楽しみさえ,もう間もなく失われようとしている.

277Mは18:38,大原に到着した.向こうのホームには,この春いすみ鉄道に活躍の場を移したキハ52が見える.外房線といすみ鉄道のホームは隣り合わせているが,2011年に入って113系が急速に数を減らしたため,キハ52と並ぶ機会は意外に少なかった.なお,当日のこの並びの模様は,いすみ鉄道の社長である鳥塚氏がキャッチしている.一方,277Mの停車時間がわずかだったため,筆者は記録出来なかった.

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筆者の祖母の家が外房線の御宿にあった.御宿の2駅手前に位置するここ大原は,祖母の家に近付いた一つの目安であり,大原に着いただけでホッとしたものだ。と同時に、心踊る。かつては、駅本屋側のホームに、木原線のキハ35や、総武快速線直通の113系・11連が停車していたのを思い出す。駅は以前と変わらないが、最近になって、跨線橋が架けかえられ、エレベータも付いた。

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大原を出て、浪花、そして、進行方向左側にリゾートマンションの明かりが見えると、御宿だ。下り列車の駅到着時にモノラルスピーカから聞こえてくる「御宿〜」のアナウンスは、筆者にとっては格別なものだが、今日で聞き納めだ。祖母も他界し、今では御宿で下車する用事もなくなった。今日は113系のお名残り乗車である。御宿では下車せずに、277Mに乗って終着の勝浦まで揺られる。

御宿を出て、日中ならここにきてやっと車窓に海が見えるのだが、既に日は暮れていて、外は真っ暗だ。もっとも、隧道の数も多く、日中でも海を見る楽しみは途切れ途切れだ。

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こうして、外房線普通列車277Mは、18:55に終点の勝浦に到着した。

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列車は23分後に294Mとなって、千葉へと折り返すが、勝浦での折り返し間合い時、ホームは撮影大会となった。勝浦の下り方は光源が少なく、長時間の露光が必要となるが、先頭部は混雑し、思うように撮影出来ない。中には、ストロボを遠慮なく発光する輩もいる。気持ちは分かるが、これはマナー違反なので、自分は手持ち限界のスローシャッターを切る。だが、どのカットもブレていた。折り返し間合いのほとんどを、下り方先頭で過ごした後、発車時刻が近付いたので、車内に戻る。

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上り294Mでは、席を立つことなく、じっくり過ごすと決めていた。なぜなら、筆者にとって最後の外房線113系だからである。往路と重複するので詳しくは書かないが、上総一ノ宮で快速との接続のための8分停車でも、いつもと同じように席で過ごし、113系の先頭部に足を向けることをしなかった。

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快速が先行するためか、幸いにして、車内は最後まで混雑することなく、千葉までボックスを独り占め出来た。最後を意識せずに、クーラの心地良い冷気に当たりながら、最後の113系との時間を過ごした。

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20:53、千葉に到着した294Mの113系には、カメラを向ける多くの姿があった。ファンだけではなく、一般の人も、ケータイやゲーム機などで113系にレンズを向けている。彼らは、みんなが写真を写しているから、つられて写しているのだろう。普段その活躍ぶりが地味で、あまり注目を浴びることなどなかった房総ローカルの113系は、こんなにカメラを向けられて、ちょっと照れくさそうに見えた。

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こうして、自分と房総ローカル113系との旅は、幕を閉じた。

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房総ローカルの113系は、同年9月下旬にイベント列車として、房総各線を巡り、最後は廃車回送を兼ね、長野までの団体列車として運転が行われたのを最後に、40年あまりに及ぶ活躍を終えた。

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コメント(5件)

内 容 ニックネーム/日時
こんにちは〜
スカ色113系はもう走ってないんだよな〜
C61が来たり千葉はえらいことになってますな…。
としおちゃん
2012/02/06 12:52
外房線の113系懐かしいな〜

最近の千葉は房総各線から113系や京葉線の201系、205系などが廃車になったり、もうまもなく久留里線のキハたちが廃車になったりと千葉の鉄道はずいぶん変わりましたね。
千葉バス情報館
2012/02/06 17:04
お二人とも、コメントをお寄せ下さり誠にありがとうございます。
昨年のうちにこの記事を書こうとあれこれ準備していたんですが、テキストが思うように進まず、引退から半年近くが経ってしまいました。
昨年の千葉は、いすみ鉄道にキハ52が投入されたり、あれこれ車両の動きから目が離せない1年でしたが、今年も、いすみ鉄道や千葉都市モノレールに新形式が投入されるなど、動きが気になります。
ツキだっ!
2012/02/07 14:20
こんにちは〜
2年前でしたか・・・
鹿島神宮に行った際に、まだ113系が走っていて驚いたのですが、昨年行ったら209系一色でまたまた驚いた記憶があります。
ドラ猫
2012/02/10 12:05
ドラ猫さん、コメントをお寄せ下さりありがとうございました。
ツキだっ!
2012/02/13 13:17

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