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zoom RSS 小田急1000系 登場から20年を振り返る

<<   作成日時 : 2008/12/13 21:56   >>

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今年、小田急1000系は就役から20年を迎えた。

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↑ 9000系のフロントマスクを踏襲した1000系の前面

今でこそ196両が在籍し、小田急の主力として活躍している1000系だが、1次車は4連8本。しかも、2本併結した8連での運用が基本であったため、1000系に出会うチャンスは少なかった。当時はまだ、近郊各停の8連運用がごく僅かだったのと、1000系は他形式との併結を行わなかったため、ラッシュ時専用車のような位置付けで、電車通学とは無縁の公立小学校に通う当時の筆者は、1000系を見るだけでも、困難を極めた。

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当時、どうしても1000系が見たくて、代々木上原のホーム事務室で、駅員さんに1000系の充当列車を尋ねてみたことがある。ただ、日中や夕方には運用されていなかった。駅員さんが「ゴメンね」と謝ってくれたのを、今でも覚えている。駅員さんの所為ではないのに…。1000系は、小田急初のVVVFインバータ車だったこともあり、営業開始当初は、余裕のある使い方をしていたのだろう。

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しかし、唯一、1000系に出会えるチャンスがあった。“土曜急行”である。

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1990年代前半まで、小田急の急行は日中毎時4本運転で、新宿21・51分発の優等は準急列車であった。しかし、土曜日は下校時間帯が早く、輸送力不足を補うために、新宿20・50分発の急行列車が設定されていた。“土曜急行”と呼ばれ、小田急の名物の1つでもあった。これに1000系が充当されたのである。

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こうして、1週間に1度だけ、1000系を見るチャンスが得られた筆者は、土曜日は帰宅後、急いで昼食を食べて、近所の踏切で1000系を見た。今にして思えば、どのようにして、土曜急行に1000系が充当されることを知ったのか覚えていない。

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↑ 種別幕に英文字表記が加えられた当時の準急本厚木行き 黒地に英文字併記の種別幕は比較的短命だった

小田急初のVVVF車であることは前述したが、小学生だった当時の筆者に、VVVFインバータの素晴らしさはよく理解できなかった。従来とはシステムがまるで違うため、他形式とは併結出来ないんだな…程度の認識しかなかった。

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しかし、もちろん、1000系がステンレス車体を採用していることは、小学生だった筆者にも分かることであり、小田急線上で初めて見るステンレス車に、ひどく興奮した。同級生が,ひと足早くに登場した「常磐線の415系1500番台に(イメージが)似ている」と言っていたのを思い出す。

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1000系においても、2600系以降続いた小田急20m車の標準的な側面見附が採用されたが、天地方向が拡大されたことにより、ドア窓や戸袋窓がスリムに見え、これが、側面全体の印象をとても上品なものにしている。もちろん、ステンレス表面をダルフィニッシュとしたことによる効果が大きいのだろうが、ゴツゴツとした印象が強い、ステンレス車のイメージを大幅に変えた。

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↑ 多摩急行2題 写真上は種別幕に英文字表記がない初代のもの 写真下は英文字が加えられた2代目のもの

余談だが、当時の“鉄道ファン誌”の新車ガイドには、「1000系は2600系置き換え用」という、小田急電鉄の公式見解が記述されていた。8000系が2400系を置き換えていた当時の順番から言えば、妥当なことだったが、1000系が、2600系を置き換えてしまうのではないかと、2600系が大好きな筆者は、複雑な気持ちであった。結果は、1000系は全て車両増備に充てられ、2600系は1000系によって置き換えられなかった。今にして思えば、1000系就役時、2600系の車体修理(車体更新)が行われていたので、置き換えは考え難いことであった。

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1991年には、2m幅のドアを持つワイドドア車が登場した。1500形と通称され、4+6の10連で朝の輸送力列車(準急)に固定運用されたほか、4連は8R各停の新宿方に組成され、乗降時間短縮が図られた。ただ、期待したほどの効果は得られず、一部車両において装備された座席の折り畳み機構も、使用されなかった。むしろ、座席数減による乗客の不満が多くなり、1.6mにドア幅の縮小工事が施工され、更に、4連は一部中間車化改造の上、6両編成に組成変更され、新宿方に組成されることは少なくなった。

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↑ 1本のみ在籍する8両固定編成・1081×8 車内ドア鴨居には,スクロール式LED表示器とマップ式旅客案内装置を装備し,千鳥配置されていたのが特徴であったが,マップ式は多くの変更に対応できなくなり,現在では撤去されている 1081×8は,小田急で初めて自動放送を装備したほか,2000系投入前に方向幕のLED試験に供されたこともある

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↑ 地下鉄乗り入れ編成は運行番号表示の装備がある 黒地に黄文字のそれは9000系と同一仕様 “霞ヶ関”の方向幕は,小田急では1000系だけに装填されていて,平日朝に1本だけ,霞ヶ関行きを含む運用がある

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↑ 千代田線乗り入れ編成のうち,分割編成は中間運転台に貫通路構成仕切を装備し,非常時は通り抜けが出来る構造となっている.これまた先代の乗り入れ車9000系譲りの構造.地下鉄乗り入れ編成は,この他に,デハ1100の下り方側面にIRアンテナを装備する

小田急は、急行列車において、小田原方面と片瀬江ノ島方面への分割併合運転が行われていた関係で、通勤車は7両編成以上の貫通編成を用意せず、8連は4連×2、10連は4+6で組成されていた。これには、運用効率アップによる予備車削減の意味もあった。しかし、1990年代に入り、急行は方面別運転となり、固定編成についても、徐々に方針が転換され、1000系では小田急で初めて、8両固定・10両固定編成が登場した。中間運転台削減によるコストの軽減効果の他に、客室スペース増による輸送力アップ効果が得られた。

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↑ 千代田線からの臨時列車に充当される小田急1000系 写真は2003年夏に運転された“箱根湯〜ゆう号・江の島マリン号”で,分割編成の利点を生かし,相模大野で分割併合が行われ,箱根と江ノ島方面に運転された

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1000系は増備を重ね、最終的に196両となり、3000系が登場するまで、小田急では最大勢力を誇った。6両編成が用意され、千代田線への乗り入れを開始し、後に、他形式との併結や、それまで入線禁止とされていた箱根登山線への乗り入れも始まった。これにより、普通列車全種別の運用に充当出来るオールマイティな車両になった。それだけでなく、クヤ31形の伴車や、甲種輸送の際の線内牽引用としても運用されるほか、ATCと分割編成の装備を活かし、千代田線からの臨時列車にも起用されるなど、本当に幅広い活躍ぶりを見せている。

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↑ 代々木上原における小田急1000系同士の並び 左は千代田線乗り入れ用の10両固定,右は地上専用の4×2の区間準急

ウテシさんにも扱いやすさの面で定評があり、小田急9000系のクセの強さに難渋していた千代田線のウテシさんにも、好評をもって迎えられたと聞く。他形式との併結運転の際に、1000系はVVVFインバータ車であるが故に、カム車との相性が悪く、90km/h以下の加速の際は4ノッチの使用不可とする扱いになっていた。この運転取り扱いは、1990年代後半に実施された全線スピードアップの際、廃止されている。これは1000系そのものに帰属する原因ではなく、当時はさほど問題視されなかった。

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だが、登場から20年も経てば、1000系独自の問題がいろいろ見え隠れしてくるようになる。

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まず、現在の1000系はほとんどが純電気ブレーキに改造され、起動や停止直前に、ウテシさんのハンドル捌きではどうすることも出来ない衝動が発生してしまい、ウテシさんを悩ませている。純電気ブレーキ化に伴い、タイヤフラットの発生件数が以前よりも増えており、検修陣の負担が増えているようにも見える。

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乗客の立場からも、純電気改造車の衝動には閉口することがある。もともと、1000系の回生失効速度は約10km/hと高くなく、遅れ込め制御が採用されていることもあり、純電気に改造したところで、回生効率や制輪子の摩耗率に大幅な変化が見られるとは思えない。察するに、純電気化は、電子部品の劣化に伴う部品交換の必要性から生じたものだと思われる。尤も、ウテシさんがだいぶ慣れてきたと見え、本当に上手なウテシさんは、運転技術でカバーしている。

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↑ 2m扉時代の1500形ワイドドア車 開扉時は車体長の実に40%が外気に晒された
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↑ ドア幅縮小改造後の現在のワイドドア車の姿

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↑ ドア幅縮小は開扉時のドアに引き残しを設けることで対応 引き残しがあるドアはまるでJR115系然としている

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↑(左) デビュー当初からのパワーウィンドゥは現在も存置されているが,相鉄ほどあまり知られておらず,利用率は少ない ↑(右)1500形は小田急一般車で初めてドア鴨居に旅客案内装置を設置した 運行案内だけでなく,毎日新聞ニュースも流れる意欲作だったが,現在は中止されている 1500形は1次車と2次車で車内断面が異なる 写真は1次車のもの

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次に、1500形ワイドドア車は、重量分散のため機器配置がただでさえ変則的なのだが、6連への組み替え改造が行われた際、一部編成の機器配置が統一されなかったため、更に紛らわしくなり、車両故障発生時の不安要素となっているようだ。故障モニタは設置されているが、現在の水準から比べると、一世代前の簡易的なものである。

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もう一つ、ステンレス表面に思いのほか汚れがこびり付いて、ダルフィニッシュゆえ、余計に汚れやすい。一部車両にて、クリアラッカーによる表面保護が実験的に行われている。ステンレス無塗装車体であるとはいえ、必ずしもメンテナンスフリーということではなさそうだ。

ただ、以上のように、現在の1000系が抱える問題点のほとんどが、後天的改造が原因であり、経年による問題点ではない。

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現在、小田急では8000系のリニューアルが行われているが、8000系の工事が全車完了すると、次は1000系に施工されると思われる。行先表示器のフルカラーLED化やブレーキのMBS化などが予想されるが、他にどのようなメニューが工事内容に加わるか、今から楽しみである一方で、1500形ワイドドア車は所期の目的を思うように果たすことが出来ないまま、現在は、やや異端児扱いされつつある。1500形にもリニューアルが施されるのか、今後の処遇が気になる。

1000系導入前にサハ2762号にて現車試験

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